元気ないみたいだから、ウナギでも食べて元気だしてよ!
しばらく放置してましたね。
元々和歌の良さをいろんな人に伝えたい!という想いベースで始めたこのブログ。
でも、次第に私の脳内を取りとめもなく好き放題書いているブログになり、
これでいいのかな?なんて思いながらも更新していましたが。
近々、別サイトでリニューアルする予定です。
それはそれで、このブログは続けると思いますが。。。もとい。かしこ。
古今集の和歌が多かったので、今日は万葉集の和歌を紹介します。
万葉集といえば、日本最古の和歌集。
名前の通り、「よろづのことのはをあつめた」ものです。
古今集は、身分が高く歌が上手い人の和歌ばかりですが、
万葉集の和歌は、天皇~農民、防人だったり、いろんな身分の人がいて、いいです。
全体的に素朴な感じの和歌が多いですね。
あと、万葉集は、そんなに技巧的ではなく、言葉遊びの要素が多かったりするので、
諳んじていると口が楽しいし、覚えやすい。
例えば、
「春は萌え、夏はみどりに、くれないの、まだらにみゆる、秋の山かも」
語感が最高ですね。
「春はもえ、夏は緑に」の疾走感と彩り。
「くれないの」でその彩りが一斉に、秋の深い赤が広がる感じ。
そして、「まだらにみゆる、秋の山かも」でゆったりとオチる。
秋の紅葉は綺麗ですね。ほんとに。
でもきょう紹介したい歌はこれじゃないんです。
万葉集には食べ物が色々出てくるんですよね。
古今集は「そんなん雅じゃないわ」って言って全くと言っていいほど出てこないんですけど。
対照的に、万葉集にはいろんなおいしそうなものたちが出てきます。
石麻呂に 我もの申す 夏痩せによしといふものぞ うなぎとり食せ
夏は暑くて食欲がわかないのは、昔も今も一緒。
夏痩せしてしまった友人に「うなぎでも食べてスタミナつけなよ!」と言う、
そんな場面が浮かびます。これは万葉集の編者、大伴家伴の歌です。
ちなみに、この歌の後には
痩す痩すも 生けらばあらむを 将やはた 鰻を漁ると 河に流れな
なんて歌があります。前の歌でウナギを勧めてたくせに「ウナギとるために川に流れて死んじゃうくらいなら、痩せてても生きてたほうがましでしょw」なんていう。冗談がきびしい笑
石麻呂さんはとてもスリムな人だったんでしょうね。笑
奈良時代の人も、ウナギ食べてたなんて、ちょっと親近感です。
と言っても、たぶんこの時代だから白焼きなんでしょうけど。
ウナギは白焼きでも油ぷりぷりでおいしいですもんね。
ほかにも、
醤酢(ひしほす)に蒜搗(ひるつ)き合(あ)てて鯛願ふわれにな見えそ水葱(なぎ)の羹(あつもの)
鯛を醤酢とノビルで食べたいなぁって思ってるのに、
ネギのスープなんて見せないでくれよ・・・。
今でも鯛は御馳走の代表格ですけど、それは当時もおんなじ。
それを醤酢?(醤油っぽいのかな?)という調味料をつけて、
ノビルという植物と一緒に食べる。そんなごちそうがたべたいなぁって思っているのに、日常のごはんは水葱のスープなんですよね。ひ、ひもじい。笑
奈良時代の食生活がすごくリアルでいい。
そしてたぶん、水葱のスープはそんなにおいしくないんだろうなぁ。笑
調べたら、たぶんもっといろんな食べ物の歌があるはず。
なんていったって、4000首もあるんだから。古今集の四倍です。
生活に根付いた和歌の数々と、すなおな言葉たち。
古今集とはまた違う、良さがあります。
いずれにしても、和歌の良さって
歌を前にすれば、100年経とうが1000年経とうが
日本人の美意識の根本は通じているし、
同じ気持ちにうっとりできる。そこが好きです。
いろんな人が諳んじてきた言葉を、
2021年の今、こうした口ずさめる。
なんだかいいなぁって、幸せな気持ちです。